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PPH法

PPH法は、1993年にイタリアのロンゴ博士によって開発され、ヨーロッパを中心に広まっている手術法で、イタリアを中心に約3万例近く行われているそうです。

腸を吻合する器具に似たサーキュラー・ステープラーという筒状の器具を肛門に挿入し、直腸粘膜を筒の内部にはさんで、内痔核を切除せずに痔核の2cm上の直腸粘膜を輪切りに切除します。

そして、上下を吻合し、内痔核を2cm持ち上げて、内痔核が脱出しないようにする手術法です。


痔核そのものは切除せず、その上の直腸粘膜を切除するため、痔核が元の位置に引っぱり上げられ、動静脈叢上部の血流を遮断するので、痔核は自然に小さくなるとされています。

PPH法のよい点と悪い点は、次のとおりです。

●よい点
・手術が簡単に行えます
サーキュラー・ステープラーという器具を使うので、腸の機械吻合を経験している外科医ならだれでもできます。

・痛みがありません
切除して吻合する場所が、痛みを感じる神経がない直腸なので、痛みを感じません。

・入院期間を短くてすみます
機械で吻合するので、手術直後には出血が多くありますが、数日たつと出血が少なくなるので、短期の入院ですみます。


●悪い点
・内痔核は残ったままです
内痔核を2cm上に持ち上げるだけで、基本的には残ります。

内痔核が上に持ち上がると、血行がよくなって内痔核はなくなる、という意見もありますが、レーザー顕微鏡を使った研究によって、内痔核はコラーゲンなどの繊維質の結合織を多量に含んでいるので、血行がよくなっただけでは消失しないことが明らかになっています。

・基本的に、病気の部分を放置したままです
内痔核を残して直腸の粘膜を切除する手術なので、正常な部分をこわし、病気の部分をそのまま放置することになり、「症状がなければ、病気を放置しておいてよいのか」という治療の根本方針に問いかける問題になります。

・正常な直腸粘膜を破壊するので、長い年月をへても直腸の機能に影響がないか、不明です
PPH法が最初に行われたのが1993年、多く行われるようになったのが1998年以降なので、直腸の機能への長期的な影響がわかっていません。

・直腸粘膜の切除を目分量で行うので、切除のしすぎが起こります
PPH法では、直腸の粘膜と粘膜下組織までを切除し、それより深くある内輪筋や外縦走筋、外膜は傷つけないとしていますが、切除を目分量で行うため、どうしても正確に切除することが困難になります。

日本でPPH法によって行われた49例の内痔核の手術の経過を検討した結果、切除が粘膜下層までで止まっていたのは12例で全体の24.5%にすぎず、残りの75.5%(37例)は、粘膜下層より深く切除していたことがわかりました。

特に外縦走筋層や外膜まで切ってしまったケースが12例(24.5%)もあり、そのうち4例(8.2%)は、内痔核が脱出する症状がまったく改善されなかったため、再手術が必要でした(「臨床外科」2000年)。

外縦走筋や外膜まで切除してしまうと、PPH法で吻合した部分が狭窄を起こす可能性があります。


・PPH法は、オーバー・サージャリー(切りすぎの手術)か?
1?2個の脱出する内痔核のために、直腸の全周に輪状の傷をつくるので、切りすぎ、という医師の意見もあるそうです。

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