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内痔核のこれまでの手術法

・ホワイトヘッド法
40?50年ほど前に流行し、一世を風靡した手術法です。

直腸から肛門にかけて痔核のできる範囲(痔帯)を、すべて切りとってしまうという方法です。

切除したあとは、直腸側の粘膜と肛門を縫い合わせます。

痔核ができる部分を、まるまる切除してしまうので、再発の危険性は低く、術後の傷あともきれいなため、世界中で行われるようになりました。

しかし、手術時間は長く、何ヶ所も縫合するので、術後の痛みは非常にはげしいものです。

「術後は、人がそばを通るだけでも痛む」という患者さんもいたほどで、痔主の人たちが、「痔の手術=痛い」と思いこむようになったのは、この手術法が原因ではないか、と考えられています。


また、手術する部分が広範囲なため、傷口から病原菌に感染することを防ぐために、術後は絶食をしなければいけません。

このほかにも、ホワイトヘッド法の弊害は次々と発見されました。

まず、排便のときに必要な、健康な組織まで切除してしまうため、便意が鈍くなって、便が漏れることがあるのです。


特に後遺症として問題になるのは、粘膜脱と肛門狭窄です。

粘膜脱は、手術によって肛門管の支持組織が破壊されるため、直腸粘膜が肛門の外側に脱出してしまうもので、直腸からの分泌物でお尻がベタベタしたり、痛みがともなうことがあります。

肛門狭窄は、手術で縫った部位が回復するときに、ひきつれを起こして肛門そのものが狭くなってしまうもので、太い便が出にくくなります。


困ったことに、これらの後遺症が術後10?20年を経過してからあらわれるのです。

また、傷口が化膿した場合は、さらに肛門が狭くなるので、その治療のために再度手術を行わなくてはいけません。


このような理由から、ホワイトヘッド法は現在ではほとんど行われていません。

しかし、現在でもホワイトヘッド法の後遺症で悩む患者さんがたくさんいます。

このような患者さんは、症状がひどい場合は10日?2週間入院し、肛門形成手術を受けなければいけない場合もあります。


・腐食剤注射療法
これもホワイトヘッド法と同じように、40?50年前に流行した治療法です。

別名「一発注射」ともいわれ、「入院も、手術も必要なく、1本の注射で患部を腐らせ、落としてしまう」といううたい文句で、多くの患者さんがこの治療法を受けました。


腐食剤注射療法は、ヒ素やキニーネなどの劇薬を痔核に直接注射し、痔核をまるごと腐らせて除去する、という方法です。

しかし、注射では、なかなか適切な範囲に適切な量の溶液を注入することができません。

注入する溶液の量が少ないと、患部がすべて除去されず、再発する可能性が高くなります。

また、注入する量が多すぎると、内痔核だけでなく、周辺の健康な組織まで腐らせてしまい、やけどのあとのケロイドのようになってしまいます。

その結果、肛門が狭くなるなどの後遺症に悩む患者さんが続出しました。

さらに患部が腐るときの痛みはすさまじく、また、腐った部分が落ちるときには大量の出血がともない、なかには命の危険さえともなうケースもあったそうです。


この治療法でも、後遺症に苦しみ、現在でも治療を受けつづけている患者さんがいます。

ですので、「どんな痔でも、通院で手術せずに治せる」などという宣伝文句を聞いたら、まずこの腐食剤注射療法を疑ってみる必要があります。


・凍結療法
30年ほど前に日本に導入された治療法です。

液体窒素、笑気ガス、炭酸ガスなどで患部を凍結させ、壊死したところを切除する、という方法です。

超低温で行うため、患部はマヒして患者さんには、痛みはまったくありません。

通院で行えるため、有効な治療法に思えますが、患部を凍結させるコントロールが非常に難しいのが問題になりました。

凍結が不十分だと痔核が再発し、行きすぎると術後に幹部がはれたり、治りがおそくなったりすることがわかりました。

また、術後3年前後での再発率が高いので、現在では、あまり行われていません。

この記事のカテゴリーは「内痔核の手術と治療法」です。
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